片麻痺の上肢を固定する衣服の開発事例:「研究」と「生活」がつながる話

 

 

こんにちは!あなたの「好きな服を楽しく着たい」という気持ちを応援するケア衣料ブランド、ケアウィルです。

突然ですが、もしあなたが肩や首の痛みに悩んでいて、肩を温める製品を探しているとしたら、AとBのどちらを選びますか?



パターンAは、一般的な製品紹介。

パターンBは、科学的な検証に基づき、具体的なデータが示されている製品紹介です。

 

きっと多くの方がパターンBを選ぶのではないでしょうか。

 

 製品選びでは、信頼性や安心感は重要なポイント。使用感や口コミももちろんですが、特に、身体に痛みがあったり、怪我をしているときに使う製品は、科学的なデータがあることで信頼性や安心感が増します。

 私たちケアウィルは、科学的「裏付け」に基づいたものづくりをしています。2025年春に発売開始予定の新製品「上肢サポートウェア」も「裏付け」を大切にしながら開発を進めています。

 

新たな挑戦「上肢サポートウェア」プロジェクト

 「上肢サポートウェア」は脳血管障害による腕麻痺や、腱板断裂・損傷、骨折などの整形疾患により上肢の可動に制限がある方々が抱える衣服の課題を新しいアプローチで解決する製品です。

腕の可動に制限がある方々のための服


 実はこのウェアは、2021年よりケアウィルが販売してきた「アームスリングケープ」という製品から派生した新モデルなのです。

 

『腕の管理』の悩みを解決するアームスリングケープ

 脳卒中の後遺症により腕が麻痺してしまう方、特に腕がだらんと力が入らない状態(弛緩性麻痺)の方や、腱板断裂によって医師から肩を指示された位置に保持しなければならない方は少なくありません。その時、三角巾やスリングを使用しますが、、以下のような悩みがよく聞かれます。

 

「腕が不安定で落ち着かない」

「上着を着られないので寒さがつらい」

「首が痛くなる」

「1人で三角巾をつけ外しできない」

こうした悩みを解決するために開発されたのが、「アームスリングケープ」です。

ケアウィルのアームスリングケープ

 

 このケープは、肩関節全体を包み込む設計で、ケープと三角巾を一体化させることで腕を安定させます。同時に保温性を高め、首や肩への負担を軽減します。また、片手でも簡単に着脱できる仕様になっており、対象者が、自立的に、そして快適に、日常生活を送っていただけるようたくさんの工夫がつまった服です。

 

性別も季節も問わない新モデル「上肢サポートウェア」の目指すもの

 「上肢サポートウェア」は、このアームスリングケープの知見に基づきながらも、、これまでとは異なる対象者の悩みも解決するために開発された衣服です。より幅広い方々のニーズに応えるためにさまざまな工夫が施されています。

 例えば、腕のホールド感を高めることで、より幅広い上肢麻痺の方に安心してご着用いただけます。また、通気性の良い素材を採用することで、夏場でも蒸れにくく、快適に着用できます。

 そして、性別や季節を問わずどんな日常のシーンでも使いやすいデザインを追求しました。

 

科学的な「裏付け」に基づく開発

 「上肢サポートウェア」は、上肢に不自由を抱える方々が安心して日常生活を送れるよう、科学的な根拠に基づき開発が進められています。

 

 着用時の暖かさやホールド力の評価は、被服環境学の観点から、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが担当。

 

 着用者の心理的な評価は、脳卒中後の上肢麻痺のリハビリテーションと片手で使える道具の専門家の観点から、大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科が担当しています。

 これらの専門機関との共同研究開発によって得られた「上肢サポートウェア」の機能とデザインに対する科学的な裏付けがあるからこそ、ユーザーが安心して使える製品をお届けできるのです。

 

次回は「裏付けを支える人」に迫ります

 この科学的根拠を築いてきたのは、どのような人たちなのでしょうか?

 次回以降の記事では、科学的な裏付けの中心的な役割を担う、東京都立産業技術研究センター研究員の山田巧博士と 大阪公立大学大学院の作業療法士・竹林崇教授 のお二人にインタビューをします。お二人がどのような思いでこのプロジェクトに参加し、どのような研究で「上肢サポートウェア」の開発を支えているのか、その背景に迫ります。

 どうぞお楽しみに!